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『『 「長らくトゥギャザ」による信頼の作法を涵養されてないんで、不安でたまらない。不安だから、承認欲求が肥大化して、「立ち位置野郎」が溢れているわけでしょ。こうした不安な連中が集まっているという状態で研究会をやって、そこにスゴイ人を放り込んでも、経験的には、感染は絶対に生じないです。

 どうしたらいいか。彼ら彼女らの「不安ベースの実存」を「幸せベースの実存」に、「不信ベースの関係性」を「信頼ベースの関係性」に、変えていくことですよ。そうしないと、どんな「仕掛け」を施しても感染は生じません。ネットでできるのは「仕掛け」レベルの工夫ですが、ベースの取り換えには「いまのところ」全く役立ちません。

宮台: いやいや。そういう部分はわかります。けれど僕が申し上げているのは、非常にテンションの高い伝達や継承を生み出すために、不安ベースの実存や不信ベースの関係性の解消が必要だということで、この解消があればネットを使ったいろんなデバイスが有効になるだろうが、この解消自体にはネットのデバイスが役立たないということです。
僕の感じだと、ゼミに来て最短で幸せベース&信頼ベースに移行するとして、半年。それは例外的で、多くの場合3年かかるんです。そいつに感染する奴が出てくるような揺るぎなさを作り出すまでに三年かかるんですよ。で、これがないと学問的に一人前になれないことに気づくまでに時間がかかりました。気が付いてからはやるしかないと思いました。
つまり、知識を伝えるため、感染させるために、スゴイ奴を放り込むというのは、前提が満たされないと、全部無駄なんです。前提とは、彼や彼女が置かれた不安な状況、居所がないと感じる状況、自分はつまらない人間だと思う状況が、手当てされること。これは、先ほど申し上げた「社会はいいとこ取りができない」というのと似ています。
「自己形成もいいとこ取りができない」んですよ。』』